ヒメボタル調査・幼虫調査
このまちを見つめる中で、その存在が明らかになった「ヒメボタル」。
養殖が難しい陸生ホタルで、未だその生態が明らかになっていないこのホタルについて調査を進めると共に、このまちの環境やあり方について、考えます。
ヒメボタルの記事、中日新聞に掲載! 2020.5.27
区画整理の造成工事が始まったものの、土が残っている繁みではヒメボタルを確認できました。
その模様が、中日新聞に掲載されました。
ヒメボタル調査を大府市長に報告しました!
2019年7月23日、大府市役所にて、今年のヒメボタル調査についての報告を大府市長に行いました。
(報告内容は下記をご覧ください)
ヒメボタル調査 2019.5.9~6.1
2019年横根平子地区ヒメボタル調査の報告
横根平子地区は市街化区域でありながら丘陵地に畑が広がり、里山として竹やナラなどの林がみられます。
2012年、この地域に住む住民を中心に「横根平子のまちづくりを考える会」を設立し、活動の一環として、自然環境について調べる取り組みを始めました。2013年に会員の家の畑でホタルがみられるという報告があり、調べたところヒメボタルと判明しました。
地域住民の情報から他の場所でもヒメボタルが見られることがわかり、2014年から生息場所の確認と発光数の調査を始め、今年で6回目の報告となります。
比較的養殖のしやすい水生のホタルであるヘイケボタルやゲンジボタルに比べ、ヒメボタルは養殖が難しい陸生の貴重なホタルです。また、その生活史は未だ判明しない点が多くあります。2015年には生活史を少しでも解明するため、地区内の竹林でヒメボタル幼虫調査を行い、幼虫の生息を確認しています。
私たちは「大府市環境基本計画における将来環境像」である『すべての生命が共生できる都市』づくりに共感しています。
「第5章 計画推進に向けて」では「自然環境の実態や生物の状況を把握し、良好に保全・活用していくため
の手立てを考えたり、自然の大切さを多くの市民に知っ
てもらったりする基礎資料としていくために自然環境マ
ップを作成」するプロジェクトが挙げられています。
私たちは市民の立場でヒメボタルの調査を通して実践
していきます。
今年もヒメボタルの発光状況を調べ、生態の解明を図りたいと考えました。
○調査方法
-
生息域及びその環境を調べる。
-
区画割りをして目視で観察し、発光数をカウントする。
○調査場所
大府市横根町平子・中村地区
○調査期間
5月9日~6月1日 23 :00頃
○用意したもの
記録用紙、懐中電灯、温度計
○調査結果と考察
別紙資料のように横根平子地区にてヒメボタルの生息を確認しました。
-
今年の発光数 1309頭カウント
今年は夜の気温が低く、昨年よりも一週間ほど遅く発光を確認しました。したがってピークは5月下旬でした。
2016年は1003頭、2017年は1527頭、2018年は1130頭だったので、数は平年並みと考えられます
しかし、実際には目視の5倍ほどは生息すると言われているので、かなり多くのヒメボタルがこの地区に生息しています。
一日に確認できた発光数が特に多かったのは5月23、24日で両日とも約200頭を確認することができました。
特に竹林での出現率が大きく、5月24日は43頭カウントできました。表紙の写真はその時のものです。
また、昨年に比べ、市有地でヒメボタルが多く観察され、その光景の美しさは素晴らしいものでした。
-
ヒメボタルは暑さに弱い。
例年、夜の気温が18℃位になると出始めます。今年は5月 12日に18℃を超え、気温の上昇とともに出現数が増えてきました。
5月26、27日の昼間の気温が急に高くなりましたが、両日の夜の気温は20℃より下がりませんでした。すると発光数が5月25日115頭→26日23頭と急激に減少しました。しかし5月28日に雨が降って気温が下がると、また出現し始めています。ヒメボタルは暑さに弱いようです。
-
環境の違いによって出現する時期が違ってきます。
横根平子ではかなり広範囲にわたってヒメボタルが生息しています。日のよく当たる草原は5月中旬から、竹林は5月下旬から多くみられるようになります。今年も同じような傾向が見られました。
-
雨上がりで風がなく、月あかりのない日に多くみられます。
雨上がりの次の日は多くの個体を確認することができます。例えば5月19日は55頭で、次の日20日は雨。雨あがりの5月21日は128頭を確認しました。これは雨水で柔らかくなった「土まゆ」を破って地上に出てきやすいからです。
また、雨の降る日、風の強い日、月が明るい日には発光数は減少します。
-
ヒメボタルは深夜族です。
発光数の調査は23時からはじめ、1時間ほどかけて地区を歩きます。
5月17日に考える会主催で「ヒメボタル観察会」を8時半 から、60人ほどが参加して開催しました。この時間では草原で15頭ほどしか確認できませんでしたが、同じ場所でも23時頃になると多くの発光を確認することができました。夜がふけてこないと活動をしません。
-
様々な場所に生息。身近で観察できることはとても貴重です。
今年も幼虫調査を行った竹林だけでなく、雑木林、草むらや畑などでも多くのヒメボタルを観察できました。防犯灯近くの光のある所や草刈りをされた畑でも確認することができました。
昨年、区画整理事業に伴って地区内のある畑の土地を削ったところ、ヒメボタルが全く見ることができなくなりました。ところが今年、その場所にヒメボタルが復活しているではありませんか。隣接する畑から移ってきたのか。原因は不明ですが、ある程度の環境が維持されていれば、復活できるようです。
人家の裏庭でも観察されています。ヒメボタルをこんな身近で観察できるということはとても貴重なことです。
まとめ
ヒメボタルの大きさは1cm弱で、とても小さな生物です。そして5月から6月という限られた時期にしか生息しません。しかし種の保存を宿命として、相手を探すため懸命に、ひっそりと深夜に発光し、相手を探しています。その光はほのかでとても綺麗です。オスは飛ぶことができます。観察で歩いていると人なつっこく近づいてきます。しかし残念なことにメスは下翅が退化して飛翔できません。従って移動性が小さいため生息地できる範囲は狭く、局所的にしか生息できません。また、ヒメボタルは恵まれた自然環境の中でしか生息できません。
そのため岡山県では天然記念物、大阪府や名古屋市では準絶滅危惧種に指定され
ています。
横根平子地区のヒメボタルは人家の裏庭など限られた環境の中でも条件が整えば生息できるようです。
また、生息域が市街地からとてもアクセスがよく、手軽に観察することができることも特徴として挙げられます。
ですが、今の生息場所を消滅させてしまったら二度と発生させることができません。
ヒメボタルを保護する環境をつくり、生命の尊さや自然環境の大切さを理解する場を作っていくことはとても大切だと考えます。
今年で3回目となる「ヒメボタル観察会」。会を重ねるごとに参加者も増えてきました。ヒメボタルの光に魅せられて何度も観察にみえた人もいます。来るたびに違う友人を連れてきてくれました。ヒメボタルの写真を撮られる方も増えてきました。今年はのべ100名ほどの方がヒメボタルの観察にみえ、輪が広がってきています。
観察会を開くたびに感動するのは、初めてヒメボタルの光を見た子どもたちの生き生きとした姿です。ヒメボタルはおとなしく、懐中電灯の光を当てると動きません。子どもたちは平気で手のひらにのせて観察しています。この子どもたちの姿を目にすると、人々の叡智を結集し、工夫して、この環境を残していく必要性をますます感じます。
毎年お願いしていることですが、今からでも遅くありません。是非ヒメボタルの保護を検討してください。
最後に参加された市民の方の感想を紹介します。
「チカッ チカッ
小さいけれどその存在をしっかりアピールして
いるヒメボタルの光
横根町平子のヒメボタル観察会に参加し、懸命
に生を営んでいる姿に感動した。
このような地区が大府にまだあるのだろうか。
残していきたい。いや、残さなければならない
大切な里山だと強く感じました。」
資料①ヒメボタル分布図2019
資料②ヒメボタルの観察2019
ヒメボタル調査 2018.5.3~5.28
2018年横根平子地区ヒメボタル調査の報告
横根平子のまちづくりを考える会
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はじめに
横根平子地区は市街化区域でありながら丘陵地に畑が広がり、里山として竹やナラなどの林がみられます。この地域に住む住民を中心に「横根平子のまちづくりを考える会」が2012年に設立されました。活動の一環として、自然環境について調べる取り組みを始めました。2013年に会員の家の畑でホタルがみられるという報告があり、調べたところヒメボタルと判明しました。地域住民の情報から他の場所でもヒメボタルが見られることがわかり、2014年から生息場所の確認と発光数の調査を始め、今年で5回目の報告となります。
ヒメボタルは、比較的養殖のしやすい水生のホタルであるヘイケボタルやゲンジボタルに比べ、養殖が難しい陸生の貴重なホタルです。また、その生活史は未だ判明しない点が多くあります。生活史を少しでも解明するため、2015年11月に地区内の竹林でヒメボタル幼虫調査を行い、幼虫の生息を確認しました。
今年もヒメボタルの発生状況を調べ、生態の解明を図りたいと考えました。
私たちは「大府市環境基本計画」の精神に基づき、「すべての生命が共生できる都市」づくりに共感しています。そして大府市がめざ
す「将来環境像」の中で、目標として掲げている「本
市の環境を守り育てるとともに、まちづくりに活かす
ことを目標として市民が自主的に環境の価値や生活行
動と環境保全の関係を理解し、市民・事業者・行政が
協働して環境に貢献する行動」をヒメボタルの調査を
通して実践していきたいです。
(2)調査方法
①生息域及びその環境を調べる。
②区画割りして目視で観察し、発光数をカウントする。
(3)調査場所
大府市横根町平子・中村地区
(4)調査機関
2018年5月3日~5月28日 23 :00頃
(5)用意したもの
記録用紙、懐中電灯、温度計
(6)調査結果と考察
別紙資料のように横根平子地区にてヒメボタルの生息を確認しました。
1.今年の発光数 1130頭カウント
今年は昨年よりも気温が高く、一週間ほど早く発光を確認しました。しかしピークは例年並みの5月中旬でした。一昨年は1003頭、昨年の発光数は1527頭だったので、数は平年並みと考えられます
しかし、実際には目視の5倍ほどは生息すると言われているので、かなり多くのヒメボタルがこの地区に生息しています。
一日に確認できた発光数が一番多かったのは5月15日の163頭でした。
特に竹林では1日に60頭もカウントできた日がありました。また、昨年に比べ、天上の草原ではヒメボタルが多く観察され、その光景の美しさは素晴らしいものでした。
2.環境の違いによって出現する時期が違ってきます。
横根平子ではかなり広範囲にわたってヒメボタルが生息しています。発光数のピークが2つあります。一つ目は雨あがりの5月14日から15日にかけて、二つ目は5月21日前後です。畑や草原地区では一つ目のピーク時に、竹林地区は二つ目のピーク時に多くみられました。
環境の違いによって、発生する時期が違ってきます。
3.雨上がりで風がなく、月あかりのない日に多くみられます。
雨上がりの次の日には多くの個体を確認することができます。例えば5月12日は100頭で、次の日5月13日は雨。雨あがりの5月14日は147頭を確認しました。これは雨水で柔らかくなった「土まゆ」を破って地上に出てきやすいからです。
また、雨の降る日、風の強い日、月が明るい日には発光数は減少します。
4.ヒメボタルは深夜族です。
発光数の調査は23時からはじめ、1時間ほどかけて地区を歩きます。
5月18日に会主催で「ヒメボタル観察会」を8時半 から、40人ほどが参加して開きました。この時間では7頭ほどしか確認できませんでしたが、同じ場所でも23時頃になると多くの発光を確認することができました。夜がふけてこないと活動をしないようです。
5.身近で様々な場所に生息しています。
今年も幼虫調査を行った竹林だけでなく、雑木林、草むらや畑などでもヒメボタルを観察できました。時には近くに防犯灯の光のある所や草刈りをされた畑でも確認することができました。また人家の裏庭でも観察されています。身近でヒメボタルが観察できるこの地区はとても貴重です。
まとめ
ヒメボタルの大きさは1cm弱で、とても小さな生物です。そして5月という限られた時期にしか生息しません。しかし種の保存を宿命として、相手を探すため懸命に、ひっそりと深夜に発光し、相手を探しています。その光はほのかでとても綺麗です。オスは飛ぶことができますが、残念なことにメスは下翅が退化して飛翔できません。従って移動性が小さいため生息地できる範囲は狭く、局所的にしか生息でき
ません。また、ヒメボタルは恵まれた自然環境の中でしか生息できないと言われています。
横根平子地区は区画整理事業計画に伴って色々と環境が変化してきています。例えば、地区内のある畑は今年の冬に土地を削りました。その結果、今年はヒメボタルがみられなくなりました。
このように生息場所を消滅させてしまうと、二度と発生す ることができません。
ヒメボタルは岡山県では天然記念物、大阪府や名古屋市では準絶滅危惧種に指定されている貴重なホタルです。
ヒメボタルを保護する環境をつくり、生命の尊さや自然環境の大切さを理解する場を作っていくことは大切だと考えます。
特に横根平子地区のヒメボタルの特徴は生息域が市街地からとてもアクセスがよく、手軽に観察することができることです。
今年で2回目となる「ヒメボタル観察会」。初めてヒメボタルの光を見た子どもたちの生き生きとした姿を目にすると、人々の叡智を結集し、工夫して、この環境を残していく必要性をますます感じました。
今からでも遅くありません。是非ヒメボタルの保護を検討してください。
最後に参加された方の感想です。
○初めて見て感動しました。小さな命が放つ光は、思った以上に明るく力強く輝いていました。もっとたくさんの人が実際に見に来てくれたら、自然を、大切な命を守っていかなきゃと感じるはずです。
○車がひっきりなしに走っている所の片隅に健気に生きているヒメボタルに出会えて、ほっとしました。そんな一時を過ごせて嬉しかったです。ホタルのことをほとんど知らなかったので、観察前の会員の方の説明、とても良かったです。
調査報告を大府市役所に提出しました!
2016年7月5日、大府市役所に「ヒメボタル生息調査報告書」と「ヒメボタルの里提案書」を提出。
7月13日(木)中日新聞にその模様が掲載されました。
ヒメボタル調査 2017.5.11~5.31
2017年横根平子地区ヒメボタル調査の報告
横根平子のまちづくりを考える会
(1)はじめに
横根平子地区は市街化区域でありながら丘陵地に畑が広がり、里山として竹やナラなどの林が見られます。「横根平子のまちづくりを考える会」を2012年立ち上げ、活動のひとつとして、自然環境について調べる取り組みをはじめました。会員の家の畑で初夏にホタルがみられるという報告があり、種類を調べたところヒメボタルと判明しました。地域住民の情報から他の場所でもヒメボタルが見られることがわかり2014年から毎年、発生状況の調査 を始めました。
比較的養殖のしやすい水生のホタルであるヘイケボタルやゲンジボタルに比べ、ヒメボタルは養殖が難しい陸生のホタルです。また、その生活史は未だ判明しない点が多くあります。昨年の11月には少しでも生活史の解明のためヒメボタル幼虫調査を行い、ヒメボタルの幼虫の生息状況を調べました。
昨年に引き続き、今年もヒメボタルの発生状況を調べ、少しでも生態の解明を図りたいと考えました。
私たちは「大府市環境
基本計画」の精神に基
づき、「すべての生命が共
生できる都市」をめざし、
市民の責務として、大府市
がめざす「将来環境像」で
目標と掲げる「本市の環境
を守り育てるとともに、ま
ちづくりに活かすことを目
標として市民が自主的に環境の価値や生活行動と環境保全の
関係を理解し、市民・事業者・行政が協働して環境に貢献す
る行動」を実践するためにこれからもヒメボタルの調査を通
して努力していきたいと思います。
(2)調査方法
①生息域及びその環境を調べる。
②区画割りして目視で観察し、発光数をカウントする。
(3)調査場所
大府市横根町平子・中村地区
(4)調査機関
2017年5月11日~5月31日 PM11:00頃
(5)用意したもの
記録用紙、懐中電灯、温度計
(6)調査結果と考察
別紙資料のように横根平子地区にてヒメボタルの生息を確認しました。
①今年の発光数 1527頭カウント
今年は昨年よりも一週間ほど遅い時期に発光を確認しました。しかし時期的には例年並みでした。昨年の発光数は1003頭でしたので約1.5倍も確認できました。実際には目視の5倍ほどは生息すると言われていますので、かなり多くのヒメボタルがこの地区に生息していると思われます。
特に竹林では1日に67頭もカウントできた日が2日もありました。その光景の美しさは素晴らしいものでした。
②雨上がりの風のない日に多くみられます。
特に雨上がりの次の日には多くの個体を確認しました。これは雨水で柔らかくなった「土まゆ」を破って地上に出てきやすいからです。また、雨の降る日、風の強い日、月明りが明るい日には発光数は減少します。
③ヒメボタルは深夜族です。
発光数の調査は夜11時からはじめています。5月19日に「ヒメボタル観察会」を8時から開き、30日人ほどが参加しました。この時間では10頭ほどしか確認できませんでしたが、11時には120頭ほど確認できました。夜がふけてこないと発光しないようです。
④横根平子のかなり広範囲に分布しています。
一日に確認できた個体数は最高182頭で昨年と比較するとかなり多く2倍近い数がカウントできました。また、昨年は見ることのなかった場所でも発見をしました。横根平子のかなり広範囲にヒメボタルが生息していることがわかりました。
⑤生息場所は様々で身近です。
2015年に幼虫調査を行った竹林だけでなく、雑木林、草むらや畑などでもヒメボタルを観察できました。時には防犯灯の光のある所でも確認されていますし、この時期は草刈りをされた畑がみられますが、そんな畑でも確認することができました。また人家の裏庭でも観察されています。
(7)まとめ
ヒメボタルの特徴としてオスは飛ぶことができますが、メスは下翅が退化して飛翔できません。従って移動性が小さいため
生息地の範囲は狭く局所的にしか生息できません。
またヒメボタルは恵まれた自然環境の中でしか生息できないと言われています。そのため一度その生息場所を消滅させてしまえば、二度と発生するのは難しいです。
岡山県では天然記念物、大阪府や名古屋市では準絶滅危惧種に指定されている貴重なヒメボタルです。ヒメボタルを保護する環境をつくり、生命の尊さや自然環境の大切さを理解する場を作っていくことは大切だと思います。
特に横根平子地区のヒメボタルの生息域は市街地からとてもアクセスがよく、手軽に観察することができる場所です。
ヒメボタル観察会に参加し、初めてヒメボタルの光を見た子どもたちの生き生きとした姿を目のあたりにすると、ますますこの環境を人々の叡智を結集し、工夫して残していく必要性を感じました。
ヒメボタル調査 2016.5.7~5.24
2016年横根平子地区ヒメボタル調査の報告
横根平子のまちづくりを考える会
(2)調査方法
①地域を区画割りして目視で観察し、発光数をカウントする。
(3)調査場所
大府市横根町平子・中村地区
(4)調査期間
5月7日~5月24日 PM11 :00頃
(5)用意したもの
記録用紙、懐中電灯、温度計
(6)調査結果と考察
別紙資料のように横根平子地区にてヒメボタルの生息を確認しました。
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雨上がりの風のない日に多くみられます。
特に雨上がりの次の日には多くの個体を確認しました。これは雨水で柔らかくなった「土まゆ」を破って地上に出てきやすいからです。
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今年の発生数は1000頭
今年は例年よりも一週間ほど早い時期に発生をしました。そのため長い期間観察をすることができました。発生数は観察期間で1000頭を超えました。実際には目視の5倍ほどは生息すると言われていますので、かなり多くのヒメボタルがこの地区に生息していると思われます。
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広範囲に分布しています。
一日に確認できた個体数は多い日でも100頭弱で昨年と比較すると多くありませんが、昨年は見ることのなかった場所でも発見をしました。
かなり広範囲にヒメボタルが生息していることがわかりました。
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生息場所は様々
昨年幼虫調査を行った竹林だけでなく、雑木林、草むらや畑などでもヒメボタルを観察できました。また意外なところでは人家の裏庭でも観察できました。
(7)まとめ
昨年の幼虫調査でヒメボタルが
確実に生息していることがわか
り、今年も幻想的な光を観察する
ことができました。
ヒメボタルのオスは飛ぶことができますが、メスは下翅が退化して飛翔できません。従って移動性が小さいために生息地の範囲は狭く局所的にしか生息できません。
またヒメボタルは恵まれた自然環境の中でしか生息できないと言われています。そのため一度その生息場所を消滅させてしまえば、二度と発生するのは難しいと考えらています。
岡山県では天然記念物、大阪府や名古屋市では準絶滅危惧種に指定されている貴重なヒメボタルです。せっかく身近に生息するヒメボタルを保護する環境づくりをぜひ考えていきたいと思います。
ヒメボタル幼虫調査 2015
調査報告を大府市役所に提出しました!
2016年1月21日(木)、大府市役所に「ヒメボタル幼虫調査報告書」と「ふるさとの森提案書」を提出。
23日(土)中日新聞にその模様が掲載されました。
幼虫調査報告書はこちらからダウンロードできます。
2015年11月22日(日)~29(日)
横根平子に生息する「ヒメボタル」の幼虫調査を実施。
10匹の幼虫を検出しました!
先の講演会後、小原さんにまちを見て頂き、助言頂いたことがきっかけで始めた今回の調査。
「幼虫の生息数を調べることで、ヒメボタルについて理解を深め、データを残すこと」を目的として、実際の調査には愛知ホタルの会の深谷豊さんに立ち合って頂きました。
【調査方法】
フィルムケースの蓋に3箇所の穴を開け、中にイカ刺しを入れたトラップを100個用意。
会員所有の竹林に、1m四方に1個埋めます。
設置後、一週間。
トラップを取り出し、中に入っている幼虫を調査します。
いよいよ設置です!
トラップ設置 2015年11月22日(日) 曇り
試行錯誤しながらのトラップ作りの末、なんとか用意した100個のフィルムケース。ほんのり暖かい薄曇りの中、会員9名でトラップを埋めます。
足場の悪い竹林は、落ち葉がふかふかで土には湿り気が。
そこにスコップで少し穴を掘り、フィルムケースをグイッと埋め込みます。
蓋の部分が土から見える程度に埋めたら、上から土や落ち葉をかぶせて完成。目印の小旗も一緒に立てていくと、1mごとにピンクの小旗が並びました。
その日は一時間弱で設置終了。
ドキドキしながら一週間を過ごしました。
そっとケースを開けてみると…。
トラップ回収 2015年11月29日(日) 曇り
そして、一週間後。
風は少しあるものの、雨は逃れた曇り空の日曜日。
再び集まった会員8名に、会員の子ども達2人も加わり、いよいよ回収です。
竹林に入ると、ポツポツと見慣れた旗が。心配していた小動物(タヌキやネコなど?)によるトラップの掘り起こしも少しだけで、トラップはほぼそのままの状態で残っていました。
そうして、次々とトラップを引っこ抜いて無事回収。
いつも青空カフェを行う会員所有の畑に移動し、調査表を広げます。
1~100まで番号が振られたマス目に、同番号のトラップの中身を手分けして出していきます。
そして、ついにご対面!
そっとフィルムケースを開けてみると、中から黒々とした幼虫が!
図鑑で観た、これぞ「ヒメボタル」!
かつて幼虫調査を行ったことがある深谷豊さんに、確かにヒメボタルの幼虫だと確認してもらいました。
もちろん、ゾウリムシや他の虫が入っていたり、イカがあるのみで何も検出できないトラップが大半でしたが、結果は100個のトラップ中、10匹のヒメボタルを検出。
発酵気味の強烈なイカの臭いに若干気持ち悪くなりながら、それでも喜びを隠せない会員達でした。
この調査結果は、今後、隣接する市有地にも生存する可能性がある為、まとめて市役所に提出する予定です。
ヒメボタル幼虫 分布図
ヒメボタル幼虫 分布詳細
実施後、参加者にアンケートを取りました!
・幼虫は思ってたより大きかった。
(回収参加 3歳 男の子 大府市横根町在住)
・竹林の中に入るのが、探検みたいで面白かった。
(回収参加 5歳 男の子 大府市横根町在住)
・自然っていいですねと改めて実感しました。
(回収参加 30代 女性 東京都在住)
・埋めた所から参加したわけじゃないけど、幼虫がいた時は感動しました。(回収参加 30代 女性 東京都在住)
・ヒメボタルの幼虫を初めて見ました。
1センチぐらいで動いている。本当に彼の地に生息していることを実感しました。10匹ほどでしたが、とても愛おしく思えました。
もとの地に放ちましたが、無事に成長して来年は美しくひかってほしいと思いました。
(反省)
フィルムケースにイカを入れてティッシュを入れ、ふたをして、他の動物に取られないようにガムテープを3重、4重にしましたが、その必要はないのでは?(設置・回収参加 60代 女性 大府市横根町在住)
・小原さんに勧められてやってみたものの、普段、調査などには縁遠いのでかなり不安だった。
トラップは、イカはこれでいいのか、埋め方は?すべて他の動物に荒らされて終わるのでは?など、何が正しいのか、こんなので本当に幼虫が入ってくれるのか、開けてみるまで本当に半信半疑だった。
でも、幼虫がいる時期は今がベストとのことで期限も決まっているし、たとえ狭い範囲でトラップが少なくてもとりあえずやってみようと、小原さんに背中を押されながらカーマで借りてきたドリルでフィルムケースに穴を開けた。
電動ドリルを使うのも初めてで、小さなフィルムケースの蓋に3つ穴を開けるのにかなりビビった。
手に穴が空くのではと思ったが、そばにいた主人が見かねてコツを教えてくれたのでどうにかできた。
と同時に、小原さんの講演時に聞いた、宮﨑駿さんの言葉「半径300mの自然は住民が守る」というのだけを繰り返し念じて、前へと進んだ。私にとっては、かなりの暗闇だった。
本当に本当に準備期間のはじめの方は不安しかなかったが、いざ設置となると、他のメンバーの力添えや実際に調査を行ったことがある深谷豊さんも来てくださってスムーズにできた。
そして一週間後。回収したフィルムケースを寒空の下、開けてみると、見慣れたダンゴムシやゾウリムシではない、まさにこれか!という黒い蛇腹状の虫が出てきて、泣き出したい程、嬉しかった。
感動した。
よくぞいてくれた。そして、よくぞイカ目掛けてトラップに入ってくれたと、一匹一匹にお礼を言いたい。
この、1センチ近くもありそうなわりあい大きな幼虫が、5月にはそれよりも小さくて固くて、おしりが赤くて光るホタルになるのかと思うと、不思議でならない。
小さな容器に集められた10匹の幼虫は、思わず手のひらで包み込みたくなるほど愛おしく、竹林もまた、このホタルが気持よく生きる為のとても大切な場所なのだなと思った。
と同時に、他にも色々な生き物や植物、たくさんの命が自然の中にはあるんだなぁと思いました。(設置・回収参加 30代 女性 大府市横根町在住)
・<二つの感動>
20年ほど前から屋根裏部屋でホコリをかぶっていた約100個のフィルムケースが役に立った。こんな形で役に立つとは想像もできなかったことに感動!
竹藪の土の中にヒメボタルの幼虫が生息していた。身近な自然界に普段気づかない生物世界が存在していることに感動!
(60代男性 大府市在住 会社員)
・2年前に初めてヒメボタルを見た時、そのほのかな輝きに感動をしました。もっとヒメボタルのことが知りたいと思い、その年から生息調査をして「ヒメボタル里山マップ」の作成をしました。そして今回、ホタルの幼虫調査をして竹藪で生きているホタルの存在を自分の目で確認できたことは貴重な体験でした。
もし「横根平子のまちづくりを考える会」のメンバーがいなかったら、ここまでの調査はできなかったと思います。メンバーの皆さんに感謝します。そしてアドバイスをしていただいた多くの皆さんに感謝しています。
ヒメボタルは飼育の難しいホタルですし、良い環境でしか生息できないと聞いています。
このすばらしい自然からの贈り物をいつまでも守りたいと思いました。(60年代女性 大府市在住)
・人間はヒメボタルの光より「金」のひかりに負けてしまうのかな。ヒメボタル、風前のともしびか。(70代 男性 大府市在住)
・100個のフィルムケースを埋めた時に1つか2つ入っていれば上等と思っていたが(ひとつも入っていなくても仕方ない)、10匹もいたと言うことを聞いて驚いた。幼虫が育つ環境ができていることにも感動した!この平子地区だけでも何カ所か生存している。何としてもこの環境を保護していきたいものである。(60代 女性 刈谷市在住)